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汚れ・シミの正体
本日のハウスクリーニングは、東京都豊島区の某マンションの一室。玄関床の大理石、赤茶色のシミが少し目立っています。
賃貸物件ですでに契約が決まっているそうですが借主の方がすごくきれい好きで、玄関のシミが気になるとのことです。そこで石材メンテナンスを掃除メニューに加えている当店に管理会社である不動産屋さんから依頼が来ました。
一見サビにも見えますが、汚れの正体はどうやら「靴の色素」が落ちてシミを作ったようです。
雨の日などに靴が濡れてそのまま玄関に入ります。靴を脱ぎ、置いておくと靴の色素を含んだ雨水が大理石について浸透し、シミとなります。
大理石・ビアンコカラーラ
石種としては大理石「ビアンコカラーラ」。
イタリアのトスカーナという地域で産出されており、世界中の建造物で一番使用されている大理石の中でも代表石種と言われている素材です。
日本でも住宅だけでなく某県の庁舎や銀行、美術館、病院などで使われているそうです。
吸水率はさほど高くないですが、汚れが付いている位置を考えると靴が置いてあったであろう場所が汚れています。
長い時間をかけてシミとなったようです。
対処方法
シミの種類は油系なのか水溶性のシミなのかということと、石の表面のタイプで掃除方法が変わります。
シミの種類によっては当然、使用する洗剤が変わってきます。
では石材の表面加工とはどのようなものがあるのか。これは大きく分けて2つあります。
一つ目は粗面仕上げです。ジェットバーナーで表層部分1mm前後をはじき飛ばし、表面を凸凹した状態にした仕上げ方法となります。その為、熱に弱い大理石などでこの加工方法は見かけません。「バーナー仕上げ」と呼ばれることが多いです。染み抜きには粘土のようなものに染み抜き剤を混ぜて使用する「吸着法」という施工方法が採用されます。
二つ目は本磨き仕上げ。鏡面仕上げとなる「本磨き」、半ツヤとなる「水磨き」などツヤの有り無しや強弱の違いはありますが石材表面を極力均一にした仕上げ方法です。染み抜きにはキッチンペーパーに染み抜き剤をたっぷりつけてシミに湿布し、上からラップをするなど養生を施す「湿布法」という施工方法になります。
今回のシミの正体は靴の色素。そして石材の表面は大理石ですから本磨き仕上げとなります。
使用する洗剤は過酸化水素系。施工方法は湿布法となります。
バキュームをかけて除塵した後にシミの部分に専用洗剤を刷毛で塗っていきます。次にキッチンペーパーをかぶせ、それに洗剤をさらに塗り込み上から養生します。
2時間後、養生を外して現状確認。
完全に除去することに成功しました。
染み抜きに関する注意点
染みの場合、浸透があまりにも深かったり、長い時間が経過して色素となってたりすると100パーセント除去することが出来ないケースがあります。
今回は入居期間が1年ほどだったこともあり、結果的に早い処置となりました。ほぼ完全に、キレイに染み抜きできたと思います。
もらい錆などもそうですが、染みは石材に限らず早めの対応がカギとなります。
また、キレート剤(金属封鎖剤)などが成分に入っていない専用洗剤を使用しなかったり、不用意にシミを拭き掃除したりすると、シミをかえって広げたり、浸透を深めたりするケースがございます。
石材の洗浄は清掃業界でも難しいと言われているくらい難易度の高いメンテナンスとなります。対応が難しそうな汚れについては早めに専門業者にご依頼していただくのをお勧めします。