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今回は和室にある障子のはめ込み枠である木部の灰汁洗いのご紹介です。

窓枠の手前にある障子がある場所で、対象となる木部は一般的に鴨居、敷居、柱と言われています。

窓のすぐそばにあるため、太陽の紫外線を多く受けるので黒くなってしまいます。

これを薬品で洗浄して白くきれいにする、これが灰汁洗いです。

和室の灰汁洗い。鴨居、敷居、柱の灰汁を除去。工程を紹介。

鴨居と柱の施工前の写真です。

鴨居とは障子や引き戸などをはめ込む木枠の上部にある溝のある横木のことです。

次の写真は同じく施工前の敷居と柱の写真です。

敷居は鴨居とは逆に下部にある横木で、障子や引き戸を開閉するためのレールがついております。

そして柱は鴨居と敷居を支える縦に取り付けられている木部となります。

前述した通り、紫外線の影響で黒くなっております。

灰汁とは?

木の表面が黒くなっているのは紫外線の影響がありますが、単に日焼けしたと言うわけではありません。

木部内部にある樹液が表面に出てきて、それが紫外線を受けることで、写真のような色合いに変化しているのです。

これを薬品で洗浄して白くキレイにすることを業界では灰汁(アク)洗いと呼ばれています。

アク洗いの手順

灰汁洗いの手順は下記の通りです。

  1. 表面に付着しているゴミ、埃を掃除機で除去。
  2. 表面の汚れを中性洗剤などで水拭きしてキレイに。
  3. 周辺が汚れないように養生。
  4. 過酸化水素35%ベースの洗剤を刷毛で対象の表面にたっぷりと塗布。
  5. 時間を置いた後にキツく絞ったタオルで拭き取る。
  6. ④〜⑤を2、3度繰り返す。

過酸化水素ベースの洗剤は専用のアルカリ助剤と混ぜ合わせて使うことが多いです。

有名なのはミヤキのアクロンでしょうか。

皮膚につくと肌表面が白くなり、チクチクと痛いので、使用する際は必ず手袋をしましょう。

灰汁洗い施工後

前述した作業を行い、乾いた後の写真です。

特に紫外線が当たっていたと思われる柱の半分を覆っていた黒ずみは消え、敷居は白く蘇りました。

まとめ

主に過酸化水素ベースの洗剤を使用しての作業ですが、灰汁洗いの工程としては他にもあります。

今回紹介した作業の後、フッ化水素酸ベースの洗剤で洗い、さらに次亜塩素酸ベースの洗剤で洗浄。

ここまで薬品で木部を洗うと表面が毛羽立ってしまうため、ペーパーヤスリなどで研磨して表面を整える必要が出てきます。

この作業は賛否両論あり、木部を痛めすぎてしまうので、灰汁洗いは過酸化水素による洗いだけにした方が良いとも言われています。

当店では今回説明しました作業のみとさせていただいております。

参考になれば幸いです。